ブックタイトル実装技術6月号2018年特別編集版

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概要

実装技術6月号2018年特別編集版

59する市場の要求項目を大きく4つに分けた。これらを要約すると「高度な除塵とラインを止めない仕組み」の除塵装置が開発コンセプトとなる。 除塵装置には、① 塵埃の種類を選ばず高い除塵特性を有すること② 剥離帯電による塵埃の再付着を防止すること③ 製品をローラに巻きつかないことや貼り合せ品では層間  剥離を生じないこと④ 長時間使用しても高い除塵性能が維持できること⑤ ローラの吸着塵埃の除去清掃頻度を下げること⑥ メンテナンス周期を長くすること⑦ ランニングコストを上げないことなど、高度な機能が求められている。このコンセプトをMDEC の開発目標とした。以下に、上記の項目について補足説明する。(1)高除塵率と剥離帯電の抑制の要求 2013 年頃の粘着ローラの除塵率は、セラミックグリーンシート上の同一組成の破片屑において約30%であった。この除塵率への要求はさらに高まり、近年では常時90%以上の除塵率が求められている。除塵率を高めるためにローラの粘着性を高めると、セラミックグリーンシートでは総厚みが100μm 前後への薄膜化に伴って、塗工層とバックアップシートの層間剥離が生じる。同様に偏光板フィルムでも総厚みが100μm以下となると保護フィルムとの層間剥離とともに、ローラへの巻きつきが発生する。また、除塵において、ローラとシートやフィルムとの強い剥離帯電によってESA(Electrostatic attraction:クーロン力による異物の吸引)が発生し、除塵した塵埃の再付着を生じることも多い。一般に、粘着力と帯電量には相関性があり、粘着層の剥離と静電気発生とはトレードオフになることが知られている2)。このため、シートやフィルムなどの基板は短冊やRoll to Roll(以下、R2Rと略記)などの形状を問わず、量産ラインでは常に静電気対策や、その管理が迫られている。これに対して非粘着性ローラは層間剥離の発生は小さく、適用が可能なことからこの分野での注目度が高い。(2)ローラのメンテナンス作業の軽減 粘着方式ではメインローラでの除塵後に、より粘着性の高いローラへ除塵物を転写させるのが一般的であるが、除塵物がローラへいったん吸着すると脱離しないことから、現状では使用頻度に応じて定期的にローラ表面の除塵洗浄を行なう必要がある。除塵洗浄は多い場合には一日数回に及ぶこともある。この除塵洗浄に係わる作業コストアップや溶剤の使用量も多くなるために、メンテナンス周期の長期間化やメンテナンス時間の短縮化も課題の一つとなっている。MDECは除塵物を回収する構造となっているので、ローラ表面の除塵物の付着が少ないことから、これらの課題を軽減させることができる。2. MDECの構造(1)構造について MDEC の構造模式を図2に示す。MDECは図中左側からユニットA、ユニットB、これらを支持する対向ローラ、裏面側の同時除塵を行なうために、システムの後ろ側には同一のユニットA’ 、ユニットB’を配置した、それぞれのローラ下部に⑥の対向ローラ(Facing support roller)から構成される。ユニットA’ には②のフィジカルアシストローラ(Physicalassist roller)を配置し、物理的に付着異物を特殊柔状ブラシで付着した異物を掻き取り、異物の付着力を解放させ、除塵をサポートすると共に直接的に除塵機能をもたせた。除塵物は上部⑧のメタルローラ(Metal roller)に転写させ、④の掻き取りブレード(Dust scraping blade)からダスト回収ボックス(Dust collection box) へと移送させる。このAユニットは独立した箱なので、除塵物が浮遊しても飛散させない構造を有している。その後側のユニットBでは、ユニットAで通過した塵埃を③の除塵ローラ(Cleaning roller)で除塵し、⑦の転写ローラ(Dust transfer roller)へ転写させた後に⑧のメタルローラを経て⑤のダスト回収ボックスへと移送させる。このとき、除塵ローラから転写ローラやメタルローラへあるいは、転写ローラからメタルローラへの塵埃の移送は、図2 MDECの構造