ブックタイトル実装技術6月号2018年特別編集版

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概要

実装技術6月号2018年特別編集版

34プリント配線板製造の動向を探る12   はじめに 世紀が改まってから、われわれの身の回りは新しい小型のモバイル電子機器が溢れるように出回ってきているが、その内部の配線は、薄くて折り曲げることができるフレキシブル基板が主体となってきている。 最近のスマートフォン、タブレットPC、スマートウォッチなどを開けてみると、柿色のフレキシブル基板が、まるで鎧のように何重にも重なりあっている(図1)。 フレキシブル基板には、絶縁材料として、耐熱性が高く、電気的な特性や機械的特性のバランスに優れたポリイミドフィルムが多く使われている。 米国のデュポン社が1960年代に開発商品化した「カプトンフィルム」は、その代表的なもので、現在でも、標準的な材料として使われている。 電子機器の配線にははんだ付けが標準的に使われるが、当時はんだ付けプロセスの温度に耐えうる材料としては、ポリイミドフィルムだけであった。 このカプトンが、柿色をしていたため、俗に「カプトン色」とまで呼ばれるようになっている。ただ、フィルムが柿色を呈するのは、厚さが25ミクロンぐらいの場合で、厚くなると、茶褐色から黒色に近くなる。逆に薄くなると黄色になってくる。いずれにせよ、透明性はほとんどないといってよい。 当然のことながら、ポリイミドフィルムをベースにするフレキシブル基板は柿色になり、モバイル電子機器の内部は、柿色であふれることになる。幸い、モバイル機器の内部配線に透明性が必要になるケースはほとんどなく、透明性のほとんどないポリイミドフィルムをベースにしたフレキシブル基板が大勢を占めることになっている。これはデュポン社以外のポリイミドフィルムでも大同小異である。 しかし、最近ではこのような柿色を好まないセットメーカーがあるようで、フレキシブル基板を黒く塗ったり、黒色のフィルムをラミネートしたりしている。もちろん透明性は当然のことながらまったくない(図2)。   透明フレキシブル基板の試み 透明なフレキシブル基板の需要がまったくなかったわけではない。特に光学的な機能を持つ電子回路では、無色透明であることが必要になってきた。 典型的な例が、モバイル機器のタッチパネルである。タッチパネル用のフレキシブル基板はディスプレイの前面に貼り付けられるので、高い透明性が必要になる。 また、自動車のダッシュボード用パネルは、ベースフィルムを通してLEDなどの照明が視認できるようにするために、フ図1 携帯電話の配線には多くのフレキシブル基板が使われている図2 黒く着色された携帯電話のフレキシブル基板耐熱性透明フレキシブル基板の材料と加工技術DKNリサーチLLC / 沼倉研史、( 株)旭電化研究所 / 溝口 昌範