ブックタイトル実装技術4月号2018年特別編集版

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概要

実装技術4月号2018年特別編集版

433. 配線のCR時定数の増加 一般の電子回路では、必ず抵抗Rと容量C(コンデンサー)がついて回る問題である。すなわち、配線には超伝導でも用いない限り寄生抵抗があり、配線間や素子間には容量が発生する。このRとCが周波数特性を悪化させる。この関係を水で容器を満たす例で示したのが図3で、導水管が細くて流水の抵抗が大きく、水を貯める容器が大きいと満杯にするには時間がかかる。電気回路では、プラスの電圧が掛かっている間に容量Cに充電し切れず、極性がマイナスに代わると追従できないことになる。従って、高周波回路では、CとRの値を小さくすることは重要である。 さて、LSIの配線構造は図4のように多層で、今や14 層のLSIも出現している。LSIの微細化に対応して、配線の寸法も微細化が進んで、20nmから10nm の時代になりつつある。配線が微細化されると、抵抗値は断面積に反比例するので図5 のように配線抵抗が大きくなり、配線間の容量も層間の距離が縮小すると大きくなる。比例縮小則では、LSIが微細化されると周波数特性が向上することになっていたが、それはトランジスタについてのことであって、配線に関しては100nm以下の微細化LSIでは、周波数特性が向上しないどころか悪化する可能性があり大きな問題となった。4. CR値を下げる対策1. 銅配線の採用 配線抵抗を大きくしないためには、抵抗率の小さい材料を使いたい。LSIの配線材料は長年の間アルミニウムが用いられてきた。アルミニウムは抵抗率も低いし、図6 左に示すようにスパッタでウエハ全面に膜付けし、フォトレジストでマスクして塩素系ガスでプラズマエッチングすれば、比較的簡単に微細パターンが形成できるので、十数年前までは配線は全て図6アルミニウム配線と銅配線のプロセス。銅は適当なエッチング材がないため、配線の形状に会うように絶縁膜を穿ち、その中にめっきで銅を埋めて、表面を平坦に削る。また、銅はSiO2などの絶縁膜中に拡散して電極間をショートさせる危険があるため、障壁となるバリア金属で囲む必要がある図45 層配線の断面の例。現在は14 層配線なども現れている図5配線の微細化が進むと、寄生抵抗Rと配線間の容量Cが大きくなる図3導管の抵抗が大きいと、水を容器に満たすのに時間が掛かる。電気回路でも抵抗Rと容量C(コンデンサ)が大きいと、容量に充電するのに時間がかかり、周波数の高い回路には応答できない