ブックタイトル実装技術4月号2018年特別編集版

ページ
26/36

このページは 実装技術4月号2018年特別編集版 の電子ブックに掲載されている26ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

実装技術4月号2018年特別編集版

421. はじめに 先月号では、LSI の集積度が年々増加するというムーアの法則を示し、その主な技術としてパターンの微細化が重要であることを述べ、CMOS の簡単な説明を行った。比例縮小則の示すところでは、微細化により集積度が上がるだけでなく、LSI の性能も向上することを述べたが、いっぽう、表1のような多くの弊害があらわれるようになり、その解決のためLSI の構造が複雑になってきた。今月はその解説を行う。2. 短チャンネル効果の抑制 MOSトランジスタのゲートの寸法がソース/ドレインの深さ方向の寸法と同程度の場合は、図1の①のようにゲート電極からの電界でトランジスタ動作が正常に行われる。ところが、平面上のパターンをどんどん微細化し、結晶内部への寸法をそのままにすると、図1 の②のようにゲート電極からの制御が困難となり、ドレインからの空乏層が伸びてソースとドレイン間に漏れ電流が発生する。これを防ぐには、図1③のように斜めのイオン注入によりチャンネルの深い部分の濃度を高くして空乏層の広がりを防ぐ方法や、④ソースとドレインから浅い張り出し部(Extentionと呼ばれる)を設けるのが良く、現在の2次元MOSでは全てこの張り出し構造になっている。 張り出し部分を作成する方法は中々巧妙である。図2のように浅いイオン注入を行い、次いでCVD 膜(主にSiO2)をデポジットした後、そのままエッチングして膜を取ってしまう。ところがCVD膜はゲート電極の側壁に雪の吹き溜まりのように厚くついているので、全面エッチングしても側壁膜が残ってくれる。この側壁膜をマスクにして深いイオン注入を行うと、図2 のように張り出し部分が形成される。半導体業界の話題(第3回)エレクトロニクス業界の発展を牽引してきた「 ムーアの法則」はさらに続く②表1 CMOSLSIの微細化に伴い発生した諸問題(先月号の再掲)厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫図1ゲート長(チャンネル長)が短くなるとソース/ドレインの下部の電界が制御できず空乏層が繋がって、②のように漏れ電流が発生する。これを防ぐには、③斜めイオン注入や、④のソース/ドレインに浅い張り出し部を設ける構造が行われている図2張り出し部になる浅いイオン注入後、CVD 膜を付けてエッチングすると雪の吹き溜まりのように側壁に膜が残る。これをマスクに深いイオン注入を行うと、図のようにソース/ドレインの浅い張り出し部が形成される