ブックタイトル実装技術3月号2018年特別編集版

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概要

実装技術3月号2018年特別編集版

14プリント配線板技術1 32   はじめに 電子機器の軽量化・コンパクト化が進むなか、機器内配線の重量やスペース制限への対策として、薄くて軽く柔軟性を備えた配線材料であるフレキシブル基板(以下、FPC)は、携帯端末、PC、カメラなどの内部配線やロボット、マウンタ、半導体製造装置など可動部の屈曲配線用として様々なアプリケーションに広く採用されている。従来のFPCは機器内部の人目に触れない箇所で使用されるケースがほとんどであったが、近年では機器のデザイン性や用途拡大にともない人目に触れる箇所で使用される要求が増えてきている。白や黒に着色されたものの利用増加に加え、フレキシブルディスプレイやタッチパネルなどのフレキシブルデバイス、LEDなどの半導体素子をリフロー実装した照明機器などに透明性を兼ね備えた配線材料が求められている。本稿ではフレキシブルデバイスはもとより、今後成長が見込まれるウェアラブル機器や医療機器などのさまざまな用途分野からの要求に対応し、透明性とリフロー耐熱性を両立させたFPC(以下、透明FPC)を開発したので紹介する。   透明FPCの課題 FPCの基材にはポリイミドフィルムがもっとも多く使用されている。ポリイミドは剛直で強固な分子構造を持ち、高分子中で最高レベルの高い熱的、機械的、化学的性質を備え、FPCの絶縁基材として最適な材料であるが、光透過率は60%程度でありフィルムの透明性に課題があった(写真1)。いっぽう、光透過率が90%程度と高く、飲料用のボトルやフィルム、衣料用繊維などに広く用いられているポリエステルフィルムが使用されるケースもあるが、耐熱温度は120℃程度と低く、鉛フリーはんだに対応する一般的なリフロー条件での本加熱温度260℃に対し、基材の反りや寸法変化が生じる問題があり(写真2)、半導体素子などの部品が実装されない単純な片面回路配線用途への適用に留まっている。   透明材料の開発 透明性と耐熱性を兼ね備えたFPCの実現にあたっては、従来同様に薄く柔軟性をもったフィルムと、回路を形成するための銅箔からなる銅張積層板の開発が必要となる。当社では、従来の色調とは異なる透明性をもったポリイミドフィルムを評価選定し、フィルム上に直接めっき処理することで銅箔を形成する方式を開発した。一般的な銅張積層板の製造方法は、フィルムと銅箔を接着剤で貼り合わせるが、接着剤を介するこ写真2 リフロー後のポリエステル基材FPC(熱により基材が変形する)写真1 リフロー後のポリイミド基材FPC(回路以外がポリイミド基材で透明性が低い)透明フレキシブル基板沖電線(株) / 丸山 孝志