ブックタイトル実装技術1月号2018年特別編集版

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概要

実装技術1月号2018年特別編集版

59ズで加工する片面プリント配線板の製造工場も建設され、テレビ需要に対応することになった4)。 民生機器主体から産業機器へシフトしたことによって、1980年代になるとコンポジット銅張積層板、ガラスエポキシ銅張積層板などが普及し、両面プリント配線板として使用された。その後、多層板プリント配線板が大型コンピュータなどに使用されたが、日本で板厚0.6mmなどの薄物多層プリント配線板が軽薄短小機器の代表ともいえるカメラ一体型VTRにも使用され、普及していった(写真3)。 1990年代になるとさらなる高密度化に対応するためにビルドアップ多層プリント配線板が登場し、日本が得意とした軽薄短小化機器に応用展開された。この時代は、日本が技術的にも量的にも世界一を誇っていた時代でもあった。 新たに商品化される軽薄短小化機器には屈曲性のあるフレキシブルプリント配線板が使用されるようになり、フレキシブルプリント配線板が成長するようになる。 また、半導体パッケージに無機系のセラミック基板から有機基板に代替する動きとなり、パッケージにプリント配線板が使用されるようになり、ICサブストレート基板ともいわれるようになり、1990年代半ば頃から普及するようになった。半導体パッケージとして使用されるため回路精度は、より精細な基板ともなった。さらなる高密度化に対応して基板の中に部品を埋め込む部品内蔵基板が登場するようになり、埋め込まれる部品も低背化した製品も登場するようになった。 また、高輝度LEDを搭載する基板には、放熱特性が要求され図1 世界の電子回路基板市場推移 億ドル(WECC)るようになり、金属基板が脚光を浴びるようになり、金属基板や放熱性を高めた銅張積層板も製品化されるようになった。 最後に、次世代配線技術としてプリンティッドエレクトロニクスや光回路などが想定される。3. 世界の電子回路基板の市場規模 前述したように電子回路基板は「片面プリント配線板」「両面プリント配線板」「多層プリント配線板」「ビルドアップ多層プリント配線板」「フレキシブルプリント配線板」「ICサブストレート基板」「部品内蔵プリント配線板」「金属プリント配線板」などの品種が生産されるようになり、国によって生産品種が異なる。以下、世界の電子回路基板の市場がどのようになっているかについて紹介する。1. 世界の電子回路基市場の概要 世界には約2,200社(UL認証された企業)の電子回路基板企業が存在し、生産金額に関しては以下に示す協議会より毎年、公表されている。 世界の電子回路基板市場は、日本、韓国、台湾、中国、香港、インド、米国、欧州などにある電子回路基板工業会で構成される上部団体に「世界電子回路業界団体協議会 (WECC=Word Electronic Circuit Council)」があり、ここで電子回路基板の世界市場を取りまとめて公表している5)。 その世界の電子回路基板市場の推移を2005 年以降から示すと図1 のようになる。約600億ドルの市場規模となっており、2015 年度は少し減少しているものの概ね世界市場は、リーマンショックの影響を受けた2009 年以外は大きな落ち込みはなく、ほぼ600憶ドルの市場規模で推移している。これは日本の電子回路基板市場動向と大きく異なる。日本の国内市場は、2007 年以降、大幅に減少している。これは国内生産から特にASEAN 諸国や中国などでの海外生産に拍車がかかったことによる。