ブックタイトル実装技術1月号2018年特別編集版

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概要

実装技術1月号2018年特別編集版

40はんだ関連技術12 近年、パワーエレクトロニクスの進展やLEDの多方面での利用に伴い、半導体やモジュール内はもちろん、そのPKGや抵抗のはんだ付け部も高温になってきた。このため接合部の高温耐久性や使用温度範囲拡大による疲労破壊などの故障増加が懸念される。本稿でははんだ付け部が高温になることで促進される破壊や高温で発生する新たな信頼性問題とされる現象について概説する。      はんだ付け部の信頼性 「製品の長期使用時に故障が生じる過程では、物理的、化学的要因で複合ストレスが、順列的もしくは同時に進み、劣化が製品の耐力を超えた時点で故障に至る」とされる。はんだ付け部では、以下6項がこのような故障に至る原因と考えられる。 ① はんだクラック ② エレクトロマイグレーション ③ エレクトロケミカルマイグレーション   (イオンマイグレーション) ④ 合金層の成長によるはんだ接続性の低下 ⑤ 腐食 ⑥ ウィスカ これまでは、はんだ付け部の信頼性としてクラックを原因とする破断が主で、他原因が引き起こす破壊はほとんどなかった。しかし、はんだ付け箇所が高温になることで上記②~④による破壊が懸念される。本稿では、接合箇所が高温になることで問題になる①~④の信頼性項目について記す。   はんだクラック はんだクラックによる破壊は、一定応力が負荷され続けるクリープ破壊、繰り返しの加熱冷却で発生する熱疲労破壊、振動などで発生する機械的疲労破壊がある。この中で熱疲労破壊が7 割を占める1)とされており、当社で取り扱うクラック破断も、ほとんどがこの形態と考えている。 熱疲労破壊について記す。はんだで熱膨張率の異なる材料を接合しているため、温度変化によりはんだ接合部には繰り返し応力が加わる。この熱膨張率のミスマッチがクラック進展の推進力となる。はんだ付け部が高温になることでΔtが拡大し、クラック進展の推進力が増すことで完全破断までの時間が短かくなる。図1に歪みの図を記す。したがって、高温で使用されるという事はクラックに対する信頼性を強化する必要があると考える。 はんだクラック対策を図2に示す。クラックが入らないように、このような対策を試みるが現実的な条件の中でクラックが図1 熱疲労破壊によるはんだクラック図2 はんだクラック対策高温動作環境下におけるはんだ付け部の信頼性(株)クオルテック