ブックタイトル実装技術8月号2017年特別編集版

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概要

実装技術8月号2017年特別編集版

15品質確保と不良改善に必要なこと ?最適なスルーホールアップ確保について?はんだ接合技術 このように、たとえ75 %で信頼性が確保されていたとしても、現場での判断で見誤ることがあったり、計測工数が確保できなかったりと、現実的ではない。そこで「充填率としては過剰品質になるが100 %を目標とする」といった現象がおこるわけである。 その他の品質基準(ブローホールやボイドなど)についても、上記と同様のことがいえる。充分に協議し、各項目別に基準化しておくことが重要である(図1)。   スルーホールアップに必要な熱量 さて、スルーホールアップにもっとも必要な因子であるが、それは何といっても、熱、である。 図2を見ていただきたい。最終的にどのポイントまで充填率を確保したいか? によるが、仮に図のような個所まで充填率を確保したいのであれば、そのポイントの温度が何℃以上になっていて何秒確保できているか、が重要になる。 具体的にはそのポイントの温度が、はんだの融点を越えて何秒確保できているかが重要である。このポイントが、はんだの融点を越えて少なくとも3 秒以上確保できていれば、充填率を確保できることと思う。 だが、熱電対の取り付け方によって生じる計測誤差は、5~10℃程度は簡単についてしまう。そのため実際には、スルーホール アップを確保するための計測によって生じる誤差を鑑みた場合、はんだの融点以上の温度(有鉛はんだ : 183 ℃、Sn3.0Ag0.5Cu :217~220 ℃)にこだわるのではなく、はんだの融点-5℃や、-10℃という管理ポイントによって、スルーホールアップの善し悪しを判断するのもいいであろう。 実際、条件出しの際などに使用する、温度プロファイル用マスター基板は、はんだ付け後の実装基板であることが多いと思う。この場合、スルーホール内にはすでにはんだ付けが行われているので、実際にはんだ付けを行う基板よりも、その計測ポイントがもつ熱容量は大きくなっている。この熱容量分も計測結果に影響をおよぼすので、はんだの融点以上の温度で管理するよりも-X℃といったように、減算したポイントで管理や条件出しを行うほうがより現実的かもしれない。 この温度測定を行う際に、計測器のチャンネル数が多い場合は、図2 のようにリードの上部だけではなく、部品面側の基板ランドの一番外側を計測ポイントとして増やすことも有効であるといえる。(一社)実装技術信頼性審査協会、 STC ソルダリング テクノロジ センター図1 フロー工程で必要な品質(目標)図2 スルーホールアップに必要な熱量3