ブックタイトル実装技術8月号2017年特別編集版

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実装技術8月号2017年特別編集版

14はんだ接合技術 1  はじめに 本年から不定期シリーズで解説を進めてきた「フロー工程の品質確保と不良改善に必要な事」の解説も今号で最終回となる第5回目となった。 これまで同様に前回までを振り返ると、■2016年1月号 目的(Be)と行動(Do)の違いについて、スプレー塗布条件変更の前に行う設定、すなわち定点塗布の実験方法(塗布圧力と霧化量の適正化)とスキャンスピードの設定、オーバーシュート量の設定等について解説を行った。■2016年7月号 フラックス塗布量の設定方法について、その判定方法、日々の管理方法等について説明を行った。■2016年8月 フローはんだ工法における、プリヒートの設定方法と基板面内温度分布、更に取得したデータの活用方法についてまとめた。■2017年1月号 はんだ浴内の温度分布と、噴流の設定(流速)について、その設定方法について説明した。 またピールバック角度と品質についての解説を行った。 今回の解説は、多くの企業で課題となっている「スルーホールアップ確保」について説明を行う。   フロー工程で必要な品質<目標> 前回(2016 年6月号)「BeとDo」の話をした。今回も同じように、フローはんだ付けにおける「Be」、品質目標をあらかじめ決めておこう。何を目的としているか?は非常に重要である。目的地があって現在地(現状把握)が分かっているからこそ、目的地までのルートが分かるように、品質目標と現状品質が分かっているからこそ、やるべき事(Do)が見えてくる。車のナビゲーションシステムと同じである。道案内も同様である。 では、フロー工法におけるあるべき状態(Be)とは何であろうか? ・スルーホールUPは何%まで必要か? ・ぬれ広がりは何%まで必要か? ・ブローホール、ピンホール、ボイドに対する規定はどうす  るか? ・フィレット形状や表面光沢、ツノ等その他の規定はどうす  るか?… etc 目標とする品質は、もちろん長期製品寿命にわたって、その信頼性が確保されていなければならない。信頼性評価試験などによる裏付けにより、はんだ付け品質が決まってくるわけであるが、次の2つについてはそれだけでは決め切れない現象である。その代表格が、「スルーホールUP」である。 ボイドやブローホール、ツノやツララ、はんだボールなども、信頼性を含めて品質基準を策定する上では、非常に難しく、また間違いやすい現象ともいえる。信頼性については別の機会に詳しく説明することになると思うが、まずはスルーホールUPを例に見ていこう。というのも、現場での品質確保にもっとも相談の多い現象であるからである。 スルーホールUP(充填率)に関しては、「75 %まで」などとした規定をよく見かける。これはIPC規格からの引用かと思うが、スルーホールUPに関しては75 %で信頼性が担保されていたとしても決めきれない原因があり、「100 %まで(基板の部品面まで)」としている企業が多くある。それはなぜか? それは「検査性」によるものである。充填率が75%といわれても、現場で即座に判断するのは不可能に近いからである。現場では、まず外観で品質を鑑定する。人間の目はスケールが付いていないので、75%が正しいかどうか判断が困難である。そこで100 %としていることが多いのである。2品質確保と不良改善に必要なこと?最適なスルーホールアップ確保について?(一社)実装技術信頼性審査協会、 STC ソルダリング テクノロジ センター / 佐竹 正宏