ブックタイトル実装技術7月号2017年特別編集版

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概要

実装技術7月号2017年特別編集版

22設計・解析・シミュレーション12   はじめに 昨今、電子機器は小型化・高性能化に伴い発熱密度は高密度化の一途をたどっている。これに伴いファンやヒートシンクといった放熱部品の配置は困難を極め、設計者を悩ませている。高度な仕様を求められている現状では、電子機器設計の現場では、シミュレーション技術は必要不可欠なものとなっている。 しかしながら、シミュレーション技術を十分に活用するためには、シミュレーションで再現する現象に対する知識とともにシミュレーションツールを適切に使用する技術も併せて必要となることから、多くの設計者にとってはそのハードルは決して低いものではないといえる。 このような背景の中、当社では「設計者が活用できる」をコンセプトに様々な熱流体解析ソフトウェアを開発している。 本稿では「設計者が活用できる」ソフトウェア『熱設計PAC』と『PICLS』について紹介する。   電子機器筐体設計向け   『熱設計PAC』 『熱設計PAC』は電子機器の熱対策を行うための熱流体解析ソフトウェアである。当社では設立以来、汎用三次元熱流体解析ソフトウェア『STREAM』の販売・開発を今もなお続けている。このSTREAMのメインエンジンを用い、電子機器の設計者に使いやすいGUIを提供しているのが『熱設計PAC』である。 熱設計PACは直行構造格子を採用し、どのような複雑な3D形状であってもメッシュ作成に失敗することがないため、CADデータの再作成などによる無駄な工数は必要としない。 また、直行構造格子のため高速演算を実現しており、シミュレーション結果を得られるまでの時間を短縮しており、短時間で様々な設計アイデアの比較検討が実現可能である。 さらにマルチコアを使用した並列計算に対応しており、10年前では300~500 万要素であった解析規模も今や「億」単位計算が一晩で実現できるまでになっている。 現象を定義するための設定項目も、汎用製品とは異なり必要なものだけが表示されているため、使用者を迷わすことがない。 計算機能としては流体の熱・流れについてはいうまでもないが、輻射(放射)による受放熱、基板レベルではGerberデータの読み込みや電流発熱、複合材部品である発熱体の熱抵抗モデル、ペルチェモデル・ヒートパイプモデル・ヒートシンクモデルといった冷却部品などを考慮した計算が可能である(図1)。 熱設計PACは、設計の傍らで行わざるを得ない状況の中で必要最低限の時間でシミュレーション結果を得られる仕組みが整っており、設計者に向けたソフトウェアといえる。熱設計における熱流体解析技術(株)ソフトウェアクレイドル / 奥田 耕治図1 熱設計部品モデルの一例