ブックタイトル実装技術4月号2017年特別編集版

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概要

実装技術4月号2017年特別編集版

31くると思われる。 クリームはんだ印刷では、なぜ、通常のスクリーン印刷原理と異なる時差版離れである「コンタクト印刷」を行うことになったかについての筆者の見解を示す。 1990年頃までは、80メッシュ程度の非常に粗いステンレスメッシュのスクリーン版がクリームはんだの印刷に使用されていた。当然、通常のクリアランスを採る「オフコンタクト印刷」であり、スキージもゴム製のスキージが使用されていた。 その当時、クリームはんだ印刷は、実装される部品が非常に大きく、はんだの粒径が65μm以上と非常に大きいサイズであった。そのため、塗布量をできるだけ多くするためにステンレスの板をエッチングで開口したメタルマスクが使用されるようになった。 メタルマスクは、当時から、スクリーン枠に直接貼り付ける「直貼り」と周囲をポリエステルメッシュの支持体でつなぐ「コンビ貼り」が市販されていた。「コンビ貼り」のメタルマスクを使用して、スクリーン印刷の原理である「オフコンタクト印刷」で印刷すると、開口部にメッシュがないため図1のようにスキージ方向にペーストが漏れ、前方へのにじみが発生する。この対策のために版と基板との距離を「0」とする「コンタクト印刷」が採用されることになった思われる。 さらに、クリームはんだペーストは、にじみが少ない高粘度のものが使用され、スキージも開口部のインクを深く掻きとらないように金属製のメタルスキージが使用されるようになった。 「コンタクト印刷」では、原理的にペーストのマスク開口への充てんと「版離れ」に時間差を設ける必要があり、にじみ発生のリスクがあったが、当時の印刷パターンは、非常に大きいサイズであり、特に大きな問題は生じることはなかった。その後、印刷パターンが狭開口になるに従い、「コンタクト印刷」の原理はそのままで、印刷装置やメタルマスクの改良、クリームはんだの微粒子化などで対応し、着実に技術が進歩してきた。 しかしながら近年、印刷パターンの開口径が200μmφ以下と非常に小さくなり、クリームはんだの「欠け」や「未転写」の不具合が多発し、深刻な問題となりつつある。3. 時差版離れの「コンタクト印刷」と  同期版離れの「オフコンタクト印刷」の違い 図2に「コンタクト印刷」の時差版離れ原理でのペースト状態のイメージを示す。 ローリング及び充てん開始時には、ペーストは流動状態であるが、充填終了時から一定時間マスクと基板とが接触状態となり、この間にペーストは、停止し流動状態から疑似的な固体状態に変化する。このため、疑似固体化しやすいペーストが、印刷性能が高いとされている。そして、「版離れ」工程で、疑似固体状態となったペーストをマスク開口から引き剥がす。 このように、時差版離れの原理である「コンタクト印刷」では、ペーストを疑似固体状態にしてからマスクを剥がすため、印刷形状も頂上部が平坦になり転写率も多くできる。しかしながら、この形状は最も理想的に転写した場合だけであり、マスク開口が小さくなるに従い、疑似固体化したペーストがマスクから抜けにくくなり欠けが起きやすくなる。 ペーストが疑似固体化する変化には、ある程度ばらつきがあり、狭開口ではそのばらつきが場所による版抜け性の違いに現れ、欠け不具合が起きやすくなると考えることができる。なお、この原理では、ペーストの流動状態を維持するような低い粘度の性状にすると、マスクと基板との接触時間が長いため、にじみが発生して均一な印刷ができない。図1 「オフコンタクト印刷」での前方へのペースト漏れ図2 時差版離れ原理でのペーストの状態変化