ブックタイトル実装技術4月号2017年特別編集版

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概要

実装技術4月号2017年特別編集版

261. はじめに 今月は、多くの樹脂を供給することでエレクトロニクス業界がお世話になっている(株)クラレ(以下、クラレ)を取材した。 クラレは、1926(大正15)年、近代日本を代表する実業家の一人でもある大原孫三郎により、人造絹糸レーヨンの事業化を目的に「倉敷絹織株式会社」として岡山県倉敷市に設立された。1949 年に社名を「倉敷レイヨン株式会社」、1970年に現在の「株式会社クラレ」に変更している。 液晶パネルに使用されるポバールフィルムや、ガソリンタンクや食品包装材などに使用される『エバール』で世界シェアがトップなど、機能性樹脂を中心とする新素材で高い競争力と独自性をもっている。 大原孫三郎といえば、倉敷市の大原美術館の設立が有名であるが、西洋美術、近代美術を展示する私立美術館としては日本最初のもので、ギリシャ神殿風の本館には世界の巨匠作品が多数展示されており、筆者は数回拝観したことがあり、よくもこれだけ個人が集めたものと感心した。 なお、本レポート中の写真、グラフ、イラストなどは、すべてクラレの提供である。2. 各種の樹脂開発の歴史 クラレは1926 年当時の先端技術であった人造絹糸レーヨンを企業化することを目的創立され、第二次世界大戦後の1950 年には、我が国初の国産合成繊維として世界に先駆けてPVA繊維『ビニロン』の工業化に成功し、木綿に代わる合成繊維として学生服などで一世を風靡した。日本における化合繊産業の草創期を切り開いたものである。 1960年代には天然皮革の構造を再現した人工皮革『クラリーノ』の開発やポリエステルの技術導入を行い、1970年代には、世界初の合成法によるイソプレンケミカル製品の事業化、ガスバリア性の高い機能樹脂『エバール』や、メディカル製品など、新規事業を相次いで立ち上げた。さらに1990 年代には熱可塑性エラストマーの『セプトン』、新規PVA系繊維『クラロンK-Ⅱ』や耐熱性ポリアミド樹脂『ジェネスタ』を事業化した。本レポートでは、エレクトロニクス製品に非常に多く用いられている『ジェネスタ』を取り上げ、後半でその他の樹脂を紹介する。厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第24回)特徴ある樹脂でエレクトロニクス業界に貢献する伝統ある化学会社、(株)クラレ図285 ℃×85% RH×168Hrs 処理後、ピーク温度260 ℃赤外線加熱で発生する気泡。PA9Tでは見られない図1