ブックタイトル実装技術3月号2017年特別編集版

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概要

実装技術3月号2017年特別編集版

30 従来のエレクトロニクス実装は、はんだボールや金属ペーストで溶融接合するというのが常識であったが、同技術は、ゴムボール表面に金属皮膜を形成し、ゴムの弾力で押し付けることによって、接触圧力を得て低抵抗で電気接続ができる、というものである(図1)。 このアイデアは20年くらい前から提唱はされていた。ちょうどその頃BGAが普及しはじめ、その応用技術として、「銅コアはんだボールなどと共にゴムボールに金属皮膜をすれば、はんだ溶融をしなくても接圧で通電できる」というアイデアも存在していた。しかしこれは技術的に困難で実現していなかった。 それがなぜ困難であり実現不能だったかという理由はいくつかある。 そのひとつに、ゴムの熱膨張係数が著しく高いということが挙げられる。ゴムの種類にもよるが150℃で300ppmもあり、金属と比べると100倍、耐熱性樹脂の10倍である。 エレクトロニクス材料であるから、製造時にはんだリフローにさらされることもあり、また、電気製品が発する熱や、車載製品であれば真夏の炎天下などでは100℃近くになることもある。 見た目にはそれらしいものを作れるものの、このような温度の変化によって金属皮膜が引き裂かれてしまい、結局、常温下でしか使うことができないことから、実用化は無理、という結論に至ったのである(写真1)。 その他の理由としては、ゴムの耐熱性不足という点ももあった。 高耐熱なゴムといえばシリコーンゴム、テフロンゴムがあるが、シリコーンゴムでもせいぜい200℃程度である。また、シリコーンゴムは金属との密着性が非常に悪いという欠点もある。いっぽうテフロンゴムも、可逆性材料であるから耐熱性は高いものの、しかし加工はその耐熱温度を上回る温度でないとできないことから、こうした球形微粒子を製作することは困難だったのである。しかし方法としては電気特性的に非常に優れているため、その点に着目した。 球形の先端が少し押されるとフラットになる。すると当然、反対側も同じだけ変形し、広い面積で接触することになり、導電抵抗もむらがない状態が形成される。加えて、球形であるから意外と表面積が大きいため、電流も見た目よりは流れ、弱電機器では十分である。 また、単純な構造で短い距離なので高周波を流しても反射(株)リトルデバイス / 瀧澤 明道接触圧力による常温実装部材「金属皮膜ゴムボール」?(株)リトルデバイスと東京大学鳥居研究室が共同開発?図1