ブックタイトル実装技術12月号2016年特別編集版

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概要

実装技術12月号2016年特別編集版

44 Ru、Rh、Pb、Ag、Os、Ir、Pt、Au の8つの元素について、日本名をいえますか? 筆者も全部は答えられなった。これらの金属の名前と性質などを、表1にまとめた。この8種類の貴金属を産業用に活用し、世界的にもトップシェアをもって活躍されているのが田中貴金属工業(株)である。 1885 年に田中商店として創業開始であるから、実に130年の伝統がある。最初は両替商としてスタートされたが、すぐに白金製品の国産化に成功され、1943年に田中貴金属工業(株)へ社名を変更し、現在は、田中電子工業(株)と日本エレクトロプレイティング・エンジニアーズ(株)の子会社があり、別にジュエリーを扱う会社もある。売り上げの内訳は図1 のように70 %が産業用である。 田中貴金属の商品は実に多方面にわたっており、上手く分類することが難しいので読者の皆様に関心が深いと思われる実装関係をまず取り上げ、後半でその他の話題を取り上げることにする。1. 実装関係と半導体ボンディングワイヤ1. Au粒子による接合 低温接合材料「AuRoFUSE」を開発し、LED の電極に使用することにより、高い出力が得られるようになった。従来のLEDはワイヤボンディングが行われていたが、Au 粒子接続により図2 のようにフェイスダウンボンディングが可能になり、放熱性が改善され、モジュールサイズも小型化された。従来は高価なアルミナイトライド・セラミックを用いていたが、メタル基板に直接接合できるため低コストのモジュールが製造できるようになった。LEDチップとメタルとが近いため放熱が良くなり、両者の熱膨張係数の差が大きいため破損する恐れが心配されるが、Au粒子が熱膨張時のひずみを緩和するため、破損の心配がなくなり、車載用照明や多彩な用途に用いられている。2. ボンディングワイヤ 半導体のチップと外部端子のリードフレームをつなぐワイヤボンディングについては、皆様は十分ご存じであろうが、念のため図3に示す。20μm程度の線径のリード線の先端を放電により溶解してボールを作り、それを同図のようにチップのアルミ電極の上に押し付けてボンディングする(もちろん、位置合わせが必要)。ついで、リードフレーム側に移動して位置を確認してボンディングし、最後にリード線を引いて切り、次のボンディングに向かう。この間が0.1秒もかからない超高速動作なので見ていて鮮やかなのに驚かされる。 このボンディング用のワイヤは、田中貴金属が世界の業界の最大手である。従来は金線が圧倒的に多く用いられたが、現在はコスト的に有利な銅線に置き換わりつつある。銅線の問題点は、表面が酸化しやすいことで、酸化膜ができるとボンディング強度が落ちてしまう。この対策として、酸素のない雰囲気でボンディングするのもあるが、田中貴金属ではパラジウムめっきした銅線を供給しており、安定した生産が行われている。厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第20回)貴金属専門メーカーとしてエレクトロニクス業界を支える田中貴金属工業(株)表1 8種類の貴金属の紹介図1 田中貴金属の事業分野は、産業用が大部分