ブックタイトル実装技術12月号2016年特別編集版

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概要

実装技術12月号2016年特別編集版

22半導体実装 1  はじめに 最近になってSiCやGaNなどの化合物半導体を用いたパワーデバイスの市場投入が相次いでおり、長らく期待されてきたポストシリコン・ワイドバンドギャップ(WBG)半導体がいよいよの実用化され始めている1)。それに伴って、これまでSiの動作温度限界の175℃に制限されてきた実装技術全体を見直し、より高温度での信頼性を確保する技術開発が急ピッチで進んでいる。このような高耐熱実装技術の中心となるのは、耐熱ダイボンド技術であり、従来の鉛はんだの代替としてAu-Geなどの高融点共晶はんだや、金属化合物の反応過程を用いたTransient Liquid Phase(TLP)接合とともに、銀や銅など金属ナノ粒子の焼結接合が注目されている2)3)。なかでも比較的安価な銀フレーク粒子をベースにした焼結接合技術は着実に完成に近づいており、高耐熱モールド樹脂の開発と合わせて、デバイスのケース温度(Tcase)が250℃という過酷な条件での信頼性検証が進められている 4)。 これらの金属焼結接合やTLP接合を用いたダイボンド技術でパワーデバイスを作成する場合には、接合温度や雰囲気の制御だけではなく、安定した加圧制御が不可欠であり、ばらつきが少なく信頼性の高い製品製作工程の鍵を握っている。我々は、この問題を根本から解決するために、真空やギ酸などの雰囲気を制御可能なリフロー炉に適合する精密荷重装置を新たに開発した5)。 本稿では、この荷重制御装置を雰囲気制御小型リフロー炉(Unitemp, RSS-450-210)と組み合わせたTO-247タイプのSiCショットキバリアダイオード(SBD)及びMOSFETディスクリートデバイスの試作実装を紹介する。精密荷重制御が銀焼結ダイボンドの信頼性を大きく改善し、高耐熱デバイス大量生産と市場への普及に貢献することを示したい。   焼結接合装置と実証実験 今回のSiCデバイス試作パッケージとして、10 連のTO-247リードフレームに焼結接合ダイアタッチを行った事例をあげる。図1にチップを接合したリードフレームと、その焼結接合プロセスの概略図を示す。一つのデバイス内にSiC SBDチップを二つ搭載する設計であるので、10 連のリードフレームでは20チップを同時に加圧焼成する必要がある。銀ペーストは大気中250 ℃程度で焼結できるので、簡便な方法としては搭載した複数チップにわたってガラス板を乗せ、その上に錘を乗せて荷重し、全体をマッフル炉やホットプレートなどで加熱すればよい。しかしながら、複数のチップを一体の錘精密荷重制御機構を用いた焼結接合装置による高耐熱パワーデバイス実装大阪大学 産業科学研究所 / 下山 章夫、 長尾 至成、 菅沼 克昭2図1 TO-247デバイスの構造と今回の試作に用いた10連リードフレーム。図中の番号はデバイスの位置を示す