ブックタイトル実装技術11月号2016年特別編集版

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概要

実装技術11月号2016年特別編集版

27度のVF値が得られたのに対して、SiC MOSFETはVgによって異なるVF 値が得られた。また、シミュレーションを行った結果、SiC MOSFETはVg=?5V の時、内蔵ダイオードのVF値が実測値とシミュレーション値の間で大きく乖離した。その他のサンプルの全条件および、SiC MOSFETでVg=0Vの時、測定した内蔵ダイオードのVF 値は、シミュレーションから算出したVF 値とほとんど変わらず、整合性が取れた。 上記の結果から、SPICEモデルは全ての特性を網羅しているとは限らない。またSiC MOSFETの場合、内蔵ダイオードは、VgによってVF 値が変化するため、温度特性取得時とパワーサイクル試験でTjを測定するときのVgを同じ値にする必要がある。測定した各サンプルの内蔵ダイオードの温度特性に直線近似を行い、導出された一次方程式から温度係数を算出した。3. 内蔵ダイオードのVFの過渡特性と  温度測定タイミング 内蔵ダイオードを用いてTj制御する場合は、MOSFET やIGBTに通電している時に内蔵ダイオードに対して逆バイアスがかかるため、正確なTjが測定出来ない。実際に内蔵ダイオードを用いてTj 制御するときは、MOSFETやIGBT へのON 動作直前および、オフ動作開始直後の2 点の温度を測定している。 パワーサイクル試験は、オフ動作開始直後から次のオン動作まで、時間の経過とともにTjは低下する。測定タイミングが遅ければ、Tjpeakを正確に測定することが出来ないため、内蔵ダイオードのVFの過渡特性を調べ、温度測定タイミングが最短で正確に測定可能な時間を検討した(温度測定時条件は、図1と同様)。 今回使用するパワーサイクル試験機の構成を図3に示す。内蔵ダイオードのVFの過渡特性は、各サンプルにスイッチングのみを行い(IC、ID=0A)、調べた。ICまたはID=0Aの時、サンプルは発熱しないため、チップ内部の温度は変化しない。そのため、内蔵ダイオードのVF値はスイッチング前後で同じ値となり、正確なTjの測定が安定的に可能となるまでの時間を最短時間とした。 代表波形としてIGBTのOFF時波形を図4に示す。内蔵ダイオードのVF 値がスイッチング後に安定していくのが分かる。IGBT の場合の最短時間は約50μsecだった。図4 内蔵ダイオードのVFの過渡特性[IGBT]図3 パワーサイクル試験装置構成図