ブックタイトル実装技術7月号2016年特別編集版

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概要

実装技術7月号2016年特別編集版

39何回もボンディングしていると先端が摩耗してくる。図2はTOTO製キャピラリー先端の初期状態と250万回ボンディングした後の表面状態である。通常は100 万回程度が使用限度といわれているが、TOTOのキャピラリーはほとんど磨耗が見られず、非常にライフが長いといえる。なお、100 万回といえば長時間使用できるように感じられるかもしれないが、現在のボンダは、1秒間に10ボンド以上があたりまえなので、100万回は10万秒に相当するため、ほぼ毎日キャピラリーを取り換える必要がある。キャピラリー取り替えのメンテナンス作業による無駄なオペレーションコストやボンディングマシーンの停止時間を減らすためには、ライフが長いことは重要である。図3は、2ndボンディング中にキャピラリー先端表面にかかる応力分布のようすである。2ndボンディング性を向上させるためにマット処理を施したTOTO製は、業界で一番粗い処理でありながら、均一な応力分布になっている。図3右のようにキャピラリー表面を機械加工で上手く荒らしている。 図4はTOTO独自のCAE(Computer Aided Engineering)解析を用いたシミュレーションのイメージである。様々なボンディングシーンを動的なシミュレーションで再現することによって、顧客が抱える技術課題の根本原因をつかみ、いち早く、最適なキャピラリー形状やボンディングパラメーターといったソリューションを提供することが可能になった。 最後に、図5はTOTOが昨年リリースした新製品である2段先端表面形状キャピラリーである(2段先端表面=DoubleFace Angleを略し、DFAキャピラリーと通称する)。 近年、車載半導体に代表される高信頼性の要求が高まる製品において、実装封止性向上のために、表面粗化処理をしたリードフレームの採用が進んでいる。その新たなトレンドにおいて、2ndボンディングでピーリング課題に直面するケースが多々あったが、DFAキャピラリーの特殊形状によって課題解決を可能にした。同時に1stボンディング性能も向上するため、ますます、微細化・複雑化が進む脆弱なチップに対してダメージリスクの少ないボンディングとしてのソリューションにも活用される。昨年のリリース早々、圧倒的なボンディング性能の向上を達成し、顧客での量産用キャピラリーとして採用され、注目を集めているアイテムである。図5 DFAキャピラリー図4 CAE解析技術図3 「ボンディング時にキャピラリー先端表面にかかる単位面積当たりの応力」×「時間」の分布