ブックタイトル実装技術3月号2016年特別編集版

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概要

実装技術3月号2016年特別編集版

40 今月は、ベンチャー企業として成功しつつある( 株)D-processを紹介する。LSI の微細化はとどまるところをしらず、14nm のFinFETが量産され、10nmから7nmも話題になってきた。この微細化を支えるのがCMP(ChemicalMechanical Polish)である。CMPで平坦化することにより、短波長光の焦点ぼけを防ぐことができる。CMPは、平坦化だけなく、配線やSTI(Shallow Trench Isolation)にも必須の技術としてLSIの生産に多用されている。しかし、LSI工程は汚染を極端に嫌うので、砥粒をふりかけるCMPはかなり異質な工程である。 そのCMP 工程の受託生産を行う目的で興されたのがD-processで、現社長の土肥英之氏が、わずかの資金で2003 年に設立された。一般にLSI のプロセスを扱う場合は、巨額な設備投資が必要なのでベンチャー企業が成功するのは困難であるが、D-processにとって幸運だったのは、2009 年にCMP 工程一式を売却したいメーカーがあって、そこから格安で設備を購入できたことである。さらにラッキーなことには、平坦化技術を進めると、平坦化された材料同士を接着材なしでも接合することが可能になり、多くのアプリケーションが広がったことで、いまやCMPだけでなく接合も大きなビジネスの柱に育ってきた。 これらの技術をもった受託生産のできるメーカーは、おそらく世界中探してもほとんどないと思われる。以下、若干の技術解説を含めて同社のビジネスを紹介する。1. CMPの受託生産 CMPプロセスは図1 左のような装置で、定盤とパッドの間に被研磨物を挟み、研磨剤(スラリ)を供給しながら回転させて研磨する方法である。研磨のメカニズムは、図1右のように、スラリ中の薬液で被研磨物の表面で化学反応を行い、通常は脆い金属酸化物の膜を生成し、これを砥粒で機械的に研磨するものである。 LSIの生産では、フォトリソグラフィ工程で焦点深度をあわせるためにウエハ表面を平坦化する工程や、ダマシンと呼ばれるCu配線の埋め込みに適用されてきた。いっぽう、MEMSやパワーデバイスの分野では、接合前処理のために平坦化する必要がありCMPプロセスが重要となってきた。D-process のCMP受託加工では、以上のような分野だけでなく、平坦化が要求される金属や無機物などあらゆる材料やアプリケーションに対しても試作?量産を行っている。 D-process の応用分野におけるCMP 加工の一例を紹介すると、 ①接合前のCMP 受託加工 ②メタル電極露出(ゴールドラッシュプロセス) ③TSV Cu超高速CMP ④Siパワーデバイス ⑤HDD(トラックメディア、パターンドメディア) ⑥単結晶及び多結晶難削材料(SiC、GaNなど) など、多方面にわたるCMP 受託加工を行っている。D-process のビジネスの大きな特徴は、スラリを自作していることである。シリカ砥粒は外部から購入するが、薬液は自社で選定している。厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第14回)平坦化加工と接合技術に特化し、軌道に乗りつつあるベンチャー企業、(株)D-process図1 CMP装置と研磨のメカニズム