ブックタイトル実装技術3月号2016年特別編集版

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概要

実装技術3月号2016年特別編集版

16プリント配線板の品質 1  はじめに 自動車、鉄道のシステム、行政組織はすべてシステムである。システムの1定義に「ある目的のために、いくつかの要素が、有機的に結合した、その全体」がある。要件は、①複数の要素、②要素間の有機的な結合、③ある目的のために働く、である。これは生物をモデルにしている。 電子情報システムの階層を図1に示す。最終システムは複数のサブシステムと全体を制御するソフトウエア(ミドルウエア、業務アプリ)からなる。各サブシステムは複数のユニット(モジュール)、実装基板で組み立てられる。末端の要素はIC、個別部品(R、L、Cなど)、プリント板である。 電子情報システムは各階層で莫大な数の部品により構成されるが、今日のシステムではどの階層でもソフトウエアの関与が大きくなっている。 自動車の部品点数は2 万~3 万、航空機では200 万~300 万とされるが、その数にモジュールを構成するIC、プリント板、個別部品まではカウントされていない。それらを含めると、部品の数は、たぶん千倍以上になるであろう。大きなシステムではその数は何十億個にもなると思われる。この数は巨大であるが、ヒトの神経細胞の数(脳全体で千数百億個)に比べればまだ少ない。 こんな巨大システムがたった1個の部品不良や故障で機能不全に陥る可能性はゼロでない。その危険を防止するために、部品調達サイドはサプライヤに対してきわめて高い出荷品質と長期信頼性を要求する。そのいっぽう、部品不良や故障をゼロにすることは不可能なので、システム信頼度を確保するさまざまな対策が並行して取り入れられる。 その二つのアプローチについて概観する。   部品不良率を下げる1. 製造品質を高める ICの集積度はこの約50 年で100 万倍にも高まったが、LSI開発の初期には「生産は無理」との論文があった。1ユニットの製造歩留まりを 99.99%に高めても、10 万ユニットを集積すると製造歩留まりは0%となり良品が取れない、とされた。半導体メーカーは徹底的なクリーン化などでその課題を乗り越え、LSI生産を可能にした。しかし、現在、LSIが歩留まり100 %でつくられているのではない。低い歩留まりから生産をスタートし、工程改善で歩留まり80%くらいまで向上させているのである。 図2は、プリント板の製造歩留まりの推移である。歩留まりは年々向上しているが、片面・両面板で98%、その他の品種では95 %に届いていないのである。2. 納入品の品質を保証する どの階層でも、調達サイドは良品率90%前後の製品を受け取ることはできない。そこでサプライヤには良品率99.99%以上(しばしば不良品流出1ppm以下)を要求する。下の階層で見逃した不良が上の階層で見つかると、不良に対応するコストが10 倍になるという経験則(Rule of 10s)があるから、要求は当然である。 その出荷品質を保証するのが検査部門である。検査は利益を生まない無駄な工程では決してない。検査は不良流出部品の品質、システムの信頼性小林技術事務所 / 小林 正2図1 システムの実装階層(部品からシステムまで)JPCA実態調査