ブックタイトル実装技術10月2015年特別編集版

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概要

実装技術10月2015年特別編集版

20電子部品 1  はじめに 年間1 兆個のセンサを使用する社会、“Trillion SensorsUniverse”を10 年後の2023 年に実現することを目指し、2013 年に“Trillion Sensors Initiative”が米国でスタートした。医療・ヘルスケア/農業/環境/社会インフラなどのあらゆる部分がセンサで覆われ、ネットワークに接続されることによって、ビッグデータの適用範囲が拡大し、社会や生活を大きく変える世界が到来する。この動きの中心的な役割を果たすのが、ここ20 数年にわたって目覚ましい発展を見せ、その関連産業が世界的な規模で拡大しているMEMS(MicroElectro Mechanical Systems:微小電気機械システム)である。MEMSセンサに加えて、その利点を生かしたワイヤレス・センサ・ネットワークが広範囲の応用分野に展開され、今後のTrillion Sensorsの実現に向けて重要な役割を担っている1)。そこでは、研究開発から事業化、さらには産業化への道筋が重要な意味をもつ。   Trillion Sensors Trillion Sensors Initiativeの目指す、“Trillion SensorsUniverse”で使用される年間1 兆個のセンサとは、現在の需要の100倍、世界の70億人が、年間142個ずつ使う規模である。医療・ヘルスケア/農業/環境/社会インフラなどあらゆる分野を覆うセンサがネットワークに接続され、ビッグデータの適用範囲を拡大し、社会や生活を大きく変えることによって、すべての人にとっての、飢えの解消、医療・ヘルスケアの享受、汚染の除去、クリーンエネルギーの確立など、地球規模の課題が解決され、ほぼ20年後に到来するAbundance 2()潤沢な世界3))が実現する(図1)4)。それは、IoT/ IoE(Internet ofThings、Internet of Everything)やディジタルヘルスのように、多様に出現しつつある地球規模の経済的な潮流に沿って実現可能なものとなる。 Trillion Sensors Initiativeの起源は4)、2010 年10 月に、米Stanford大学で開催されたMEMS TechnologySummit Conferenceに遡る。そこでは、2017 年までに、7 兆個のセンサの群れが必要となるとのビジョンが提示された(Muenzel Horst、当時、独Robert Bosch社)。これを契機として、急増すると予測されるセンサの探索が、JanuszBryzek(当時、Fairchild(米Fairchild SemiconductorInternational)社)によって、継続して進められた結果、10年後に使用される1兆個のセンサに向けての多数の情報の発見へ至ることとなった。 1 兆個に向けたセンサ市場の成長を加速するためには、集中的な製品化の努力が必須であるという、Janusz BryzekがMEMSベンチャーとの関わりで得た経験に基づく確信は、米BSAC(Berkeley Sensor & Actuator Center)/UC Berkeley(米California大学Berkeley校)における提言(Vijay Ullal、Fairchild社)によって、さらに強いものとなった。それは、“Cooptition(” cooperating competitors)の用語創造呼びかけとMEMS市場(100 億ドル(1.2 兆円)から3,000億ドル(36 兆円)の市場がすでに射程)の成長を加速するに必要な標準MEMSプロセスの開発に共同で投資しようというものであった。 いっぽう、MANCEF(The Micro and Nano TechnologyCommercialization Education Foundation)の推進者であトリリオン・センサとMEMSSPPテクノロジーズ(株) / 神永 晉、 金尾 寛人2図1 Abundance(潤沢な世界)の実現4)