ブックタイトル実装技術8月号2015年特別編集版

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概要

実装技術8月号2015年特別編集版

34 今月は、話題豊富なローム(株)を取材した。 同社は1954年、東洋電具製作所として、抵抗器の商品化から出発したが、1969 年以来半導体分野に進出し、現在の事業部別売上高は図1のように、LSIと半導体素子を合わせると82 %となり、今や半導体企業といってもいい。半導体以外でも、多くの電子部品を生産しており、とてもすべては紹介できないので、興味を引いたいくつかを紹介する。同図には地域別売上高も示す。アジア圏への売上が62%を占めているが、日本の他の部品メーカーも同じ程度だろうか。 まず、ロームの伝統である抵抗器について取り上げる。1. 抵抗器の現状 抵抗器はあらゆる電子機器にとって欠かすことのできない部品であり、角形チップ抵抗器やチップネットワーク抵抗器は、ロームが世界で初めて開発した製品である。回路部品として抵抗器はあまりにもありふれており、ICが産業のお米なら抵抗器は地面の砂利のようなもので、ほとんど気にせず使用されており、筆者もどんな材料で、どんな方法で生産されているのか知らなかった。製法の概略を教えていただいたところ、①セラミック基板に、②抵抗体となる金属酸化物と電極材を印刷で塗布し、③800 ℃以上で焼成、④抵抗値を測定しながらレーザでトリミングし抵抗値を調整、⑤保護膜形成後、⑥チップに分割して完成する。 注力している車載や産業機器など高電力が必要なセットの電流検出用途向けには、高電力・超低抵抗を実現したシャント抵抗器が開発された。この抵抗器は、過電流やバッテリ残量を検知するための電流検出として使用される。内部の構造は、図2 のように抵抗体はNi-Cr / Cu-Mn 系の合金で、低抵抗領域でも優れた抵抗温度係数を達成し、動作温度保証を従来の?155℃から?170 ℃へ拡大することにより、車載や産業機器分野など高温環境下で使用されるアプリケーションでも余裕をもった電力設計が可能になる。5W相当の高電力化、0.2mΩ(min.)の超低抵抗を実現するためには銅電極を精度よく接合する精密溶接技術が必要となり、これにより、高い放熱性と熱容量をもった構造を実現した。2. SiCパワートランジスタ あらゆる電気製品には電源回路が用いられるが、ここでの電力のロスは6%ぐらいあり、日本だけでも原子力発電の数基分を消費しているので改善が要求されている。これまでSiのMOSパワートランジスタが用いられ、ソース/ドレインの周辺長を長くする構造や、デバイス構造をIGBTにするなどの厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第8回)独特の商品群で世界をリードするローム(株)図1 平成27年 事業部別売上高を地域別売上高図2 シャント抵抗器の構造