ブックタイトル実装技術8月号2015年特別編集版

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概要

実装技術8月号2015年特別編集版

301. 本稿の概要 当社では、新規活性剤を使用し、ぬれ性が高いやに入りはんだを開発した。ぬれの即効性と持続性を両備し、自動はんだ付けの早いタクトに対応した。また、フラックスの高い活性を維持しつつも、絶縁性、低腐食性を確保し、JIS及びIPCの信頼性試験をパスした。2. 序論 電気・電子製品には多く機能が盛り込まれ、様々な多種多様な電子部品により構成されている。これらは、使用材料の低コスト化、製造の効率化によるコスト削減により製品価格を抑え、手頃な価格で消費者へ提供することで爆発的な普及がなされる。スマートフォンはその代表である。製造の効率化を図ることはコスト削減の観点から重要だが、省エネルギーの点でも重要なテーマである。 現在の電子部品の実装技術は、SMTがメインであり、はんだ付け材料はソルダペーストが主流となっている。ただし、コネクタや大型の電解コンデンサなど、接合強度が必要な箇所にはフローはんだ付けやこて先でのはんだ付けが併用されている。よって、液体フラックスまたは、やに入りはんだも重要なはんだ材料としてニーズがある。 やに入りはんだのはんだ付け技術の一つであるスライドはんだ付けは、線径、こて先の大きさを選択することで、狭い箇所にあるコネクタの接合でも高い強度ではんだ付けできる有用な方法である。ロボットによる自動化により、数十本単位ですばやくはんだ付けができ、多くの生産工場で使用されている。 より速いスライド速度でのはんだ付けを実現するには、ブリッジを防ぐために、はんだのすばやい切れが重要になってくる。 本稿では、このすばやい切れを実現させ、生産タクトの短いはんだ付けができるやに入りはんだ72Mシリーズを製品化したので、紹介する。3. スライドはんだ付けに適したフラックス設計 スライドはんだ付けは、門型のはんだこてを部品のリードにスライドさせながら、やに入りはんだをはんだこてに連続供給し、はんだ付けする工法であり、①部品加熱、②はんだ供給、③はんだの切れを連続的に行う。1 本ずつ行うショットはんだ付けは、手はんだ付けに近いが、スライドはんだ付けでは、上記①から③をごく短時間で行うため、フラックスぬれ性の向上が必須である。 つまり、③のすばやいはんだの切れを実現するためには、スルーホール(以下、TH)へのすばやいぬれと、表面張力確保のために、はんだ表面酸化の抑制が必要である。また、②のはんだ供給が高温のはんだこてに連続的に行われることから、フラックスの酸化膜除去能力(以下、活性力)が熱劣化せずに持続する必要がある。 フラックスの構成成分は、ロジンなどの樹脂と酸化膜除去を担う活性剤、具体的には有機酸やハロゲン化合物である。フラックスのすばやいぬれ(即効性)と持続性を確保するために、後者の活性剤の新規探索を行った。 図1にその結果を示す。ベースのフラックスに各種活性剤を1種類ずつ適量添加し、試作フラックスとした。横軸は持続性、縦軸がぬれ性である。ぬれ性が低下すると、速い速度で(株)弘輝高ぬれやに入りはんだの開発図1 活性剤のぬれ性と持続性の評価結果