ブックタイトル実装技術6月号2015年特別編集版

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概要

実装技術6月号2015年特別編集版

34プリント配線板製造の動向を探る 1  はじめに 本誌において表題の話題を扱うのは2 年ぶりである。 前報の記事1() 2013年6月)では、長年議論をつくしてきたガラスエポキシ銅張積層板FR-4の細分割問題が、IPCなどの調停もあり、2 分割(FR4.0、FR-4.1)に落ち着いたということで、本議題も決着したことになっている。それ以前の経緯については文献を参照いただきたい2)3)4)5)。分割されて何が変わったであろうか?安全性は増したであろうか?従来と全く変わらない材料、製法であるにもかかわらずである。たぶん変化したことは、UL申請の煩雑化と、(誰が負担しているかはっきりとしない)UL認証費用・維持費用の増大であろう。 本稿ではそれ以降に発生したトピックスを中心に述べ、分割問題の抱える影響などについて述べたい。またFR-4の分割は終焉したわけではなく、新たな開始点であることについて述べていきたい。なお本文中に用いられた略号については一部説明したが、他は前報2)3)などで確認いただきたい。   分割後の対応 この決定事項に、各社、特にPWBメーカーが具体的にどう対応したかは正確には筆者にはわからない。もちろん聞けば教えてくれる業界の人間はいるのだが、それをそのままここであげるわけにはいかない。 ということで、あくまで筆者の想像として述べるが、私がUL申請対応者であったら、この改訂によって、今までの申請時に基材の品番を可能性ある限り記載していたものを、目的を絞り、2つの新区分の両方にかからないように品番を吟味、厳選して記載するであろう。区分ができた以上はそれを意識して基材の品番を選ぶことは、最小限の費用負担の増加に落ち着くからである。もっともPWBメーカー側にも事情はあり、受注産業の宿命として競合他社との競り合いに打ち勝って自社の製品が採用される可能性を上げるため、あるいは他社の受注品を自社品への置き換えを狙って、可能な限りの材料をあげつらうということが、長くこの業界の慣習であったことがある。無駄な作業を減らし、真に必要とする特性に焦点を合わせた新しい申請技術へと移行させることで、影響を最小限に留めようとするであろうというのが私の回答である。読者の皆様、うまくやっていますか?   現在の動向 今、述べてきた重要決定がなされたのが2013年の春。その後現在までにULの規格を論議する場である標準化技術パネル(STP)が2回開催されたが、実は業界を揺るがすような大きな問題の提起や決議などはこれらの大会でちらちらとは姿を見せ、議論はされているが、投票によって最終決着を争うという決定的な場面の登場という事態には至っていない。ささいな表現の曖昧さの厳格化や誤記の修正などの改正案は何度も提案され、そのつど対応してきたが、特に皆様にお知らせするほどではないし、日常業務においてULなどからの情報開示ということでそのつど徹底されてきていると思う。実態をいえば、UL、PWBメーカー及び基材メーカーもそれぞれ新区分の咀嚼と顧客への浸透でいろいろ面倒な課題の解決に忙殺されていたものと推察するが、いくつかのトピックスは間断なく議題に登っており、今後の動向を見据える上で重要なのでここで取り上げたい。 以下はこれまで継続的に議論のあった項目の中で、今後重大な問題となることが予想される項目について、説明していきたい。1. マルチプルソルダーリミット問題 本件は2008年に問題が提起され6)7)、以降、繰り返し議題として提案されてきた問題であるが、いまだに決着していないし、棚上げの感もないではない。ULもIPCとのタPWBのUL認証における課題元・合成樹脂工業協会 / 山寺 隆23