ブックタイトル実装技術4月号2015年特別編集版

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概要

実装技術4月号2015年特別編集版

19独自の生産ラインを構築し、高い生産性と高品質な製品づくりを実現する、和歌山アイコムの取り組み(その①)製品製造を効率化させる技術・取り組みど、独自の自動化のラインを構築している。   独自の生産方式を導入し、   「課題」を洗い出す1. コンベア・ストップ方式 和歌山アイコムでは、生産方式として、「IPS(アイコム・プロダクション・システム)」と呼ばれる「コンベア・ストップ方式」と、そのIPSを基本とした独自の「インラインセル・ストップ方式」を併用しており、作業工数や部品点数、生産台数によって、各方式を使い分けている。 「コンベア・ストップ方式」とは、意図的に、「8 時間分の生産量」が7時間30分で終了してしまう速度でコンベアを動かすことによって現場の作業に「無理」を生じさせ、問題が発生した時点で手元のボタンを押してコンベアを止めさせる、というものである。これによって止めなければならなかった箇所が、すなわち「問題のあるポイント」ということになる。このシステムでは「ストップ・ゼロ」のラインは「最悪のライン」とされている。つまり、そのラインは「作業スピードに余裕がありすぎる」か、「人員が余分にいる」など、いずれにせよ合理的なラインではないと判断させるからである。 なお、ラインが停止した原因と理由、また、どの工程で何分間止まったのか、などについてはコンピュータに記録されており、そのデータをもとに、原因の究明と改善策が話し合われる。ラインに負荷をかけて問題を抽出し、原因の究明してこれを改善し、その効果を確認することを繰り返すことで、同社の生産性と手がける製品の品質は向上しているのである。2.インラインセル・ストップ方式 「インラインセル・ストップ方式」は、少数の作業者チームで「組み立て→検査→完成」までを一貫して行う、というもので、作業台となるセル台を自在に組み合わせることができ、「作業効率を高めるための改善や工夫」を取り入れやすくしている。この方式によって、市場ニーズの多様化に柔軟に応える多品種少量生産がスムーズに行え、求められる製品をタイムリーに供給することできるのである。 また、工程間にはセンサが設置されており、作業内容の分析や作業バランスが把握できるIPSの見える化の仕組みを進化させたシステムになっている。そして、そこで得られた情報をもとに作業の改善が行われ、その積み重ねが品質と生産性のさらなる向上につながることになる、という。なお、大型製品についてはセル生産方式を採用している。これは、1 人の作業範囲が広いという特徴があり、熟練の作業員のチームが、組み立てから検査までを行っている。   「4S活動」と「改善提案」 このほかに、同社の全社的な取り組みとして特徴的なのが、「4S活動」と「改善提案」である。1「. 4S活動」 「4S活動」とは、「整理・整頓・清掃・清潔」という「4S」の徹底、である。 それを表す取り組みのひとつに、清掃用具の扱いがある。掃除用具は通常、ロッカーなどに見えないように収められているものであるが、同社では、人が多く行き交う廊下に、オープンな形で収納している。汚い用具で掃除をしても意味がないため、それぞれの用具が綺麗であるかどうかをあえて「見える化」しているのである(写真2)。ほうきの柄には番号を書いたシールが貼られており、番号違いで吊っていてももちろん差し支えはないものであるが順番通りに並べることをあえて周知徹底している。これは、ルールを厳守することが質の良い生産に結びつく、という思想に基づくものである。 このように、職場をより快適に、より安全にしながら作業員の質を高め、品質と生産性のさらなる向上を図っているのである。本誌編集部写真2 「見える化」された清掃用具34