ブックタイトル実装技術5月号2014年特別編集版

ページ
20/30

このページは 実装技術5月号2014年特別編集版 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

実装技術5月号2014年特別編集版

301. はじめに 2006 年7 月にRoHS 指令が施行されて以降、多くの事業所では鉛フリーはんだ合金にSn-Ag-Cu 系鉛フリーはんだを用いて実装基板を作製しているところが多い。しかし、Sn-Ag-Cu系はんだ合金は従来のSn-Pb共晶はんだとは異なり非共晶合金であるため、リフト・オフ、引け巣などの凝固欠陥に起因する不具合を引き起こすことが知られており、市場でも比較的短時間ではんだ接合に起因するトラブルも報告されている。 そこで、実装現場で発生した不具合や市場で発煙・発火事故ではんだ接合にかかわる不具合を解明するために有効な分析装置の選び方や使い方を解説する。分析装置によっては、研究開発に威力を発揮する高度な分析装置もあるが、本稿では割愛する。また、フラックス、樹脂などの有機物を解析するための設備は別の機会にゆだね、あくまでの実装現場や品質管理部門で簡単にすばやく解明できる分析装置について解説する。2. 分析を開始するための前準備1. 市場回収品の分析 市場で発生した不具合の原因を究明することは、再発防止の観点からだけでなく、実装技術を向上させるためにも重要である。 もっとも重大な事故は、製品からの出火による人身事故の発生や家屋の焼失であるが、家屋が全焼した場合には製品自体も焼失していることから、火災の原因が当該製品であることを証明することは困難をきわめる。他方、同じ製品事故でも発火前の異臭が確認された段階で回収された製品や発煙状態で回収される製品もある。この状態の不具合部を解析すれば、火災に至る原因を解明するための貴重な技術情報を得ることができる。はんだ接合部に起因する不具合も発煙・発火事故を引き起こす危険性があり、写真1は市場で回収した製品に使用されていた基板で、はんだ接合部に起因する不具合が原因で部品の周辺が発火したことが判明している。2. 不具合の発生原因 市場で不具合を発生して回収される製品が不具合を発生する原因を大別すると、機械的要因に起因する不具合、化学的要因に起因する不具合、電気的要因に起因する不具合に分類される。 機械的要因に起因する不具合としては、強度計算ミス、磨耗、応力、経年劣化、指定材料ミスなどが考えられる。また、化学的要因に起因する不具合はとしては、腐食、塩害、イオン化傾向、電位差(局部電池)、酸化、還元などの化学反応に起因する不具合が考えられる。そして、電気的要因に起因する不具合としては回路設計ミス、過電流、静電気、雷サージなどに起因する不具合が考えられる。 このうち、機械的要因及び化学的要因で発生した不具合は各種分析装置で分析すれば解答を得られやすいが、電気的要因で発生した不具合は材料としての変化量が少なく、ソルダーソリューション / 山下 茂樹商品事故原因を解明するための分析方法?製造現場、品質管理部門ではんだ接合部を分析する方法? その①写真1 焼損基板