ブックタイトル実装技術1月号2014年特別編集版

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概要

実装技術1月号2014年特別編集版

68 フレキは折り曲げられることが大きな長所となっています。特にプリンタなどの動くものを接続する場合には、折り曲げ回数が膨大なものとなり、折り曲げ回数の増加による信頼性や性能の劣化は許されません。このため、ベース材や銅箔を薄く柔らかくし、折り曲げに強い構造にする必要があります。したがって、このような折り曲げ回数の多いフレキケーブルでは銅箔を2 層以上にする多層構造は好まれません。 多くのフレキケーブルでは、単層で、高速信号の両側をGNDとするコプレナ構造が使われます(図12)。 もちろんフレキ基板はすべて稼動部に使われるわけではなく折り曲げて使用するものの、折り曲げ回数は少なく、2層にしても良い場合もあります。このような場合は2層構造にし、配線のインピーダンスコントロールを行う場合もあります。しかし、ベースに使用するポリイミドはFR-4のようにガラス繊維を使わないので、それほど厚くすることができません。信号層とGND層の距離が短いと一般に使われる50オームの特性インピーダンスを得るためには配線が非常に細くなってしまい、製造不可能になってしまいます。このため、GND層をメッシュ構造にし、配線を製造可能な程度に太くすることが行われます(図13)。 しかし、メッシュ構造はメッシュの線の太さとピッチで配線のインピーダンスが変化したり、メッシュのある所とない所で、その上にある配線の特性が変化したりと、コントロールが難しいという問題があります(図14)。3.フレキケーブルの損失 ここで、ごく一般的なフレキケーブルの損失を検討します。図15に、ここで解析したフレキケーブルの構造を示します。ケーブルの長さは30センチとします。ベースとしては50μ厚を使用し、線幅100ミクロンの単層、コプレーナ構造にしました。参考までにFR-4基板表面層配線の損失と比較します。FR-4基板の層構成と配線幅を図16に示します。 配線のインピーダンスは50オームではなく100オームに近い値ですが、配線幅をFR-4 基板と同じにしてあります。もちろん、ポートでの反射はなく、インピーダンス不整合の影響は削除してあります。 フレキケーブルとFR-4 基板の損失の比較を図17に示します。材料はポリイミド(PI)とポリエステル(PET)の2 種類を想定し、おのおの誘電率は3.3と3.2、誘電損失は0.001と0.002と両者の代表的な値を使用します。誘電率、誘電正接共にFR-4 材より値が小さいのですが、FR-4 基板は表面層で上が空気の場合と5ミクロンのレジストがある場合を示します。フレキシブルケーブルは両面に誘電体が存在します。4.ケーブルの損失対策 基板間の接続にはフレキケーブル以外にもワイヤケーブルも使われます。 ケーブルには同軸ケーブルのような太い導体を使用した単線ケーブルと多くの細いケーブルをより合わせて太くした縒り線ケーブルがあります(図18)。一般的なケーブルでは銅の酸化防止とはんだ付け性向上の前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図16 解析基板図15 解析FFC図12 FFC のコプレナー構造図13 メッシュ構造図14 メッシュのコントロール