ブックタイトル実装技術10月号2013年特別編集版

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概要

実装技術10月号2013年特別編集版

17電子部品発熱量測定システム『PM-100』 ~①測定原理について~電子部品技術 Q = Cp ρ Vm Δ T ・・・・・(1) ここでCp は流体の比熱[J/(kg・K)]、ρは流体の密度[kg/m3]、Vm は体積流量[m3/s]、Δ T は出入口の流体の温度差[K] を表す。流体に水を使用し、比熱と密度は既知として温度依存がない一定値を用いる。体積流量と温度差(出口温度T2 -入口温度Tw)を測定し、式(1)に代入することで流体が得た熱量Q を求めることができる。 しかしながら、図2に示すように、発熱量の一部はプリント配線板側へ移動するため、この方法で得た熱量は電子部品の発熱量とは一致しない。特に昨今の電子機器はプリント配線板への放熱を前提に設計されることが多く、プリント配線板への熱移動を無視すると発熱量を過小評価するおそれがある。そのため、これを考慮した補正が必要になる。 そこで、電子部品からの放熱経路を図3 のような熱回路網で考える。電子部品の表面温度をT1とし、水冷式ヒートシンク出口までの熱抵抗をRc、出口から水温Tw で一定となる貯水タンクまでの熱抵抗をRd、電子部品表面からプリント配線板を介して大気温度T0までの熱抵抗をRbとする。T1 はヒートシンク裏側に溝を掘って熱電対で測定する。また、貯水タンクから温度Tw の水を取り出して水冷式ヒートシンクへ移動するよう循環式を採用する。電子部品の発熱量をQt、水冷式ヒートシンク側への熱量をQc、プリント配線板側への熱量をQb とする。これらの発熱量には次の関係が成り立つ。 Qt = Qc + Qb・・・・・(2) なお、Rcは熱の移動を考えるために定義したが、発熱量の推定には用いない。Rcを通過する熱量QcはすべてRdに流れるためである。 次に、熱抵抗Rdは式(1)より Rd= 1/(Cpρ Vm)・・・・・(3)となり、Qc を求めることができる。しかし、熱抵抗Rb が不明なため、Qb を求めることができない。また実用上、Rbを汎用的に測定する方法はない。そこで、Rbを直接測定せずに、体積流量を変化させることによって得られる温度変化からRbを推定する手法を考案した。式(2)を温度と熱抵抗で表すと Qt = Qc + Qb   =(T2 ? Tw)/Rd+(T1 ? T0)/Rb ・・・・・(4)となり、ここでの未知数はQtとRbの2つである。ここで、体積流量を変化させればRd が変化し、結果としてT1、 T2も変化して次式のようになる。 Qt = Q’c + Q’b   =(T’2 ? Tw)/R’d+(T’1 ? T0)/Rb ・・・・・(4’) 流量変化によるT1、T2 の温度変化は小さいため、ここでは電子部品の発熱量とプリント配線板から大気への熱抵抗に温度依存性はないと仮定している。その結果、未知数2 つに対して方程式が2 つとなり代数方程式を解くことが可能になる。ただし、実際には測定ノイズなどがあるため、流量変化を2 回以上行って最適なQt を求めたほうがよい。(株)SiM24図2 プリント配線板への熱移動図3 熱回路網