実装技術6月号2012年特別編集版

実装技術6月号2012年特別編集版 page 32/54

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30高品質なプリント配線板製造を実現するガラスエポキシ銅張積層板(FR-4)の再区分化を考える12   はじめに 小型電子機器のさらなる軽量化、高機能化には高性能半導体素子やソフトウエアの発展が大きく寄与して....

30高品質なプリント配線板製造を実現するガラスエポキシ銅張積層板(FR-4)の再区分化を考える12   はじめに 小型電子機器のさらなる軽量化、高機能化には高性能半導体素子やソフトウエアの発展が大きく寄与しているが、それらを陰で支えているものとして高密度基板の存在は大きい。基板には半導体チップそのものの回路展開を行うパッケージ(以下、PKG)基板とそれをさらに複数組み合わせて現実の電子機器として組み上げるための基板の2 種類が存在し、後者の基板については『FR-4』と呼称される銅張積層板が用いられている。現在では電子回路のみならず小型チップ部品をも内蔵した能動的な作用をも付与されたものもあり、電子機器をしっかりと支える重要部材である。『FR-4』という呼称はもともと、NEMA という団体がNEMA グレードとして規定したものを米国の認証団体であるULやIPCが同様な名前を使用するようになった経緯がある。近年、UL よりANSI/UL の呼称のFR-4において『『FR-4』を分割する』という考えが示され、業界で大変な問題となっている。 これまでの経緯は日本電子回路工業会の月刊誌『JPCA NEWS』などですでにまとめられており1)2)3)、本件に初めて接する読者はまずそちらの方を参照していただきたい。また、本論文については韓国語版、中国語版も出回っているようなので、世界的にも関心の大きい問題であることが推察される。   標準化技術パネル(STP)委員の   陣容強化 FR-4 の分割阻止に向けて原素材としての積層板業界(JTPIA)、それを配線加工するプリント基板業界、仕上げ用ソルダレジストの業界が横断的にまとまり、本件に共同であたることになったことは、『JPCANEWS』で紹介ずみである。 規格の改訂にあたっては、まず識者会議(IAG)によって技術的な検討を行った後、UL の諮問機関であるSTP の場で内容が審議される。そしてオンライン上のCSDS とよばれる国際投票電子システムでの3分の2以上の賛成票が必要となる。 これまで日本やアジアに与えられた得票数はもともと不利であった。STP 委員の構成要件としては大きくは3 分野(団体、製造メーカー、サプライチェーン)から均等に選ばれる必要があること、これまでの19 名という委員数が他の分野での(STP)委員数と比較して少ないことを利用して、細かい経緯は省くがSTP 委員に日本からの関係者が積極的に応募し、日本勢を8票(従来は3票)、新たに韓国勢2票を増員するなどで陣容を強化し、これまでのように多勢に無勢で押し切られることがなく、委員同士が真剣に議論をつくせる場としてSTP を活性化させたのがまず第一歩の動きである。 次に、アジアとの連携を深める目的で、機会あるごとに台湾電路板協会(TPCA)関係者や台湾のSTP 委員、韓国電子回路産業協会(KPCA)関係者や韓国のSTP 委員との情報交換を密にし、日本での討論内容やUL からの問い合わせに関したことなどをメールなどで積極的に情報共有してきた。 一方、UL 側は、分割案が認められない場合、現在暫定処置として取られている認証作業を停止し、2001 年のUL746E に記載の手順、すなわちULが根拠としている14 の赤外吸収スペクトル(IR)チャートから外れるものをすべて『NON-ANSI』(FR-4 非該当)にするという揺さぶりをかけてきた。これまでは比較温度指数(RTI)130 ℃の取得を条件にFR-4 ANSI として10 年以上認められてきたものをである。本内容が通った場合は、電子回路板業界のみならず末端の小型電子機器まで甚大な影響を及ぼすこととなり、世界の電子産業を震撼させる大問題となる。合成樹脂工業協会(JTPIA)/ 山寺 隆