実装技術2月号2012年試読

実装技術2月号2012年試読 page 20/26

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概要:
42はRMA と比較しおよそ3 倍のCu がフラックス中に検出された。また、20 ℃放置と比較し85 ℃でのCu 増加量が著しい。これは、はんだ付け性の良いRA フラックスの腐食性が強いことを示すとともに、フラックスが酸化....

42はRMA と比較しおよそ3 倍のCu がフラックス中に検出された。また、20 ℃放置と比較し85 ℃でのCu 増加量が著しい。これは、はんだ付け性の良いRA フラックスの腐食性が強いことを示すとともに、フラックスが酸化膜だけではなく、Cu 自体を溶かしていることがわかる。野々垣らは、このCu 溶出速度が絶縁寿命に影響を及ぼすことを報告している3)。この報告からは、活性剤の強さと添加量が信頼性に影響を与えることも伺われる。4.活性剤の性質 活性力が強いとはんだ付け性にすぐれるが、腐食性や吸湿によるマイグレーションの発生が懸念されることを述べた。ここでは、活性剤の他特性についても考えてみる。 強い官能基を複数付加し、炭素が少ない構造の化合物が活性力が強い。このことから、活性剤の一般的な性質をカルボン酸を例として表1に示す。一般に炭素が多く分子量が大きい化合物の融点、沸点は上昇する。一方、活性力が強い低分子量の化合物は沸点が低く、揮発によりその効果を発揮できない場合がある。また、ロジンへの相溶性は重要な項目である。これまで述べてきたように、活性剤がロジン中に拡散、分散されていることで、腐食やイオンマイグレーションの発生を防止してきた面がある。相溶性が悪く活性剤がロジン表面に露出すると、絶縁性を損なう危険性が強くなる。 冒頭で活性剤の選択の難しさを指摘した。はんだ付け性の良い化合物を見つけることは比較的簡単だが、この効果が優れる成分の大半は、腐食やマイグレーション性能が劣る。また、揮発性やロジンとの相溶性など他特性も考慮する必要があり、活性剤の選択を難しくしている。5.ロジンの活性力と信頼性 これまでに、フラックス主成分となるロジンは『活性力を有し、残渣の信頼性も高い』と述べてきた。ここで、ロジンの構造からその理由を考えてみよう。 図7 にロジンの代表成分であるアビエチン酸の化学式を示す。 ロジンにはカルボキシル基(? COOH)が付加しており酸化膜を除く効果がある。そして、水との親和性に劣る炭素が20 含まれ、化合物全体としては撥水性が強くイオン化しにくい構造になっている。このことから、活性力を有し、残渣の信頼性は図8 失活性フラックス図9 ロジン変性による活性向上図7 アビエチン酸の化学式と分子量表1 活性剤の一般的な性質