グラデーション変化する調光ガラスの開発に成功
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
国立研究開発法人 科学技術振興機構 (JST)
学校法人 早稲田大学
学校法人 多摩美術大学
NIMSは、早稲田大学、多摩美術大学と共同で、グラデーション変化する調光ガラスを開発しました。
概要
- NIMSは、早稲田大学、多摩美術大学と共同で、グラデーション変化する調光ガラスを開発しました。この調光ガラスは、使用者の好みに合わせて自由に調光範囲を変えることができるため、太陽の高さに合わせて遮光範囲を変えるなど、従来の調光ガラスでは困難だった「遮光と眺望を両立する窓」として、車やビルなど様々な用途への利用が可能になると考えられます。
- 電気をかけることで遮光状態を変えることができるエレクトロクロミック方式の調光ガラスは、近年、飛行機の窓などに使用されています。しかし、これまでは、遮光状態をガラス全体で調整するしかなく、遮光後は窓外の景色を楽しむことはできませんでした。
- 今回、研究グループは、これまで研究してきたエレクトロクロミック特性を持つポリマー (有機/金属ハイブリッドポリマー) を使用して、グラデーション変化する調光ガラスを開発しました (図1) 。遮光部分の割合を変えるためには、電圧 (3V) の印加時間を変えるだけで良く、電源を切ってもそのグラデーション状態が保持されます。電気を流す方向を変えることで遮光方向も変えられるため、使用者の好みに合わせて自由に調光範囲を変えることができる、新しい調光ガラスの開発に成功しました。
- 今後は、車や飛行機などの乗り物やビルの窓などへの使用に向けた実用化研究を進める予定です。
- 本研究は 、物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 電子機能高分子グループ 樋口昌芳グループリーダーらの研究グループと、早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構、多摩美術大学 美術学部との共同研究の成果です。また、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST「素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成」領域 (研究総括 桜井貴康) 研究課題「超高速・超低電力・超大面積エレクトロクロミズム」 (研究代表者 樋口昌芳) の一環として行われました。
プレスリリース中の図1 : 遮光状態 (左端) から透明 (右端) にグラデーション変化する調光ガラス (サイズ : 20x20cm)